このコーナーは、夢診断のことをより良く知っていただくためのコーナーです。夢診断の歴史や夢診断の意義・注意点等に関しての知識を深めるためにも、ぜひご一読ください。
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それまで、時には単に理解不能で不可思議なもの、時には神のお告げ、時には悪魔の誘惑などと考えられていた夢に、初めてメスを入れて、その学術的な意味や夢を見る理由を研究を始めたのは、19世紀のオーストリアの精神分析学者:ジークムント・フロイトという人でした。
フロイトは、夢は神のお告げや悪魔の誘惑などではなく、夢を構成する素材は現実の生活から齎された(もたらされた)ものである、という考え方をベースにして研究を始めました。
夢の源泉には、外的感覚刺激・内的感覚興奮・内的身体刺激・純粋に心的な刺激の4つがあり、夢を見る最大唯一の目的は「願望充足である。」という学説を用いて、さまざまな持論を展開しました。
また、眼が覚めると夢を忘れてしまうのはなぜか、という疑問に対して、夢には秩序もなければ論理もないため、すぐに素材と素材がバラバラに崩れてしまうような構成になっており、記憶されるための条件を欠いているためである、と説明している。しかも、眼が覚めると感覚世界である日常生活のことに忙殺され、わずかに覚えていた夢の記憶も歪められ、忘れられてしまうのである。
---フロイトの学説(まとめ)---
- 夢を構成する素材は現実の生活から齎された(もたらされた)ものである。
- 夢の源泉には外的感覚刺激・内的感覚興奮・内的身体刺激・純粋に心的な刺激の4つがある。
- 夢を見る最大唯一の目的は願望充足である。
フロイトに続くようにして夢に関する研究を始めたのは、スイスの精神科医・心理学者:カール・グスタフ・ユングという人でした。
フロイトの理論に自説との共通点を見つけたユングは、フロイトとともに研究を進めるが、徐々に方向性の違いが現われ始めました。
ユングの考えでは、夢を見る目的はフロイト式の「願望充足である」とする部分も認めながら、それは多くの目的の中に一つにすぎないと考え、フロイトが想定したよりも遙かに広く大きいものとして夢を見る目的を再定義しました。
ユングは、フロイト式の願望充足の他に、自我(=起きている時の意識)への補償作用・自我と無意識とのバランスを取るための追体験・自我人生向上へのアドバイスを与えるためのメッセージの意味...など、夢を見る目的には幾つかの種類があることを見出しました。
また、夢の源泉には、フロイト式の外的感覚刺激・内的感覚興奮・内的身体刺激・純粋に心的な刺激に加えて、集合的無意識やシンクロニシティ(=共時性)などが存在するという学説を唱え、予知夢の説明にまで言及しようとしました。
---ユングの学説(まとめ)---
- 夢の源泉には外的感覚刺激・内的感覚興奮・内的身体刺激・純粋に心的な刺激の4つに加えて集合的無意識・シンクロニシティ(=共時性)などがある。
- 夢を見る目的には願望充足の他に補償作用・追体験・実生活へのアドバイス・予知夢などがある。
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夢に関する研究の創始者であるフロイトは精神分析学者でした。また、フロイトに続いて夢の研究をさらに推し進めたユングは精神科医・心理学者でした。
もともと夢の研究は最初、精神を病んでいる人や深い悩みを持っている人に対するカウンセリング法の1つとしての役割を持っていました。要するに、ある意味で特定の精神的な障害や困難を抱えている人のためのものに過ぎませんでした。それが、現代では広く一般的なものとして知られるようになり、さまざまな書籍やウェブサイト等で公開されるようになったのです。
夢診断は「夢を解釈すること」です。別の言い方をすれば「夢に意味を与えること」とも言えます。フロイトの学説においてもユングの学説においても、夢には、自我(=起きている時の意識)に対する無意識の作用が、その構成要素になっています。よって、夢を解釈すること=夢に意味を与えること=自分の中の無意識を知ることなのです。
起きている時間の意識(=自我)では、なかなか気づくことの出来ない、あなたの中の無意識を知ることによって、あなたが心の奥底にフタをしてしまっているもう一つの本心や大切な価値観や未来への展望に気づき、あなたの人生の更なる向上への道しるべになることでしょう。
---夢診断の意義(まとめ)---
- 夢診断とは夢を解釈すること=夢に意味を与えること=自分の中の無意識を知ることである。
- 自分の中の無意識を知ることによって、あなたの心の奥底に潜むもう一つの本心や大切な価値観や未来への展望に気づき、あなたの人生の更なる向上への道しるべになる。
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夢を見る目的には願望充足の他に補償作用・追体験・実生活へのアドバイス・予知夢などがあります。
例えば、本当は願望充足の夢なのに(実生活へのアドバイスだ!)などと誤解してしまったり、本当は追体験の夢なのに(これは予知夢だ!)などと誤解してしまったりすると、実生活に対して悪い影響を与えてしまう可能性があります。
---夢を見る目的---
- 願望充足
= 自我(=起きている時の意識)で満たされなかった・満たされていない欲求を、夢の中で叶えるため。
- 補償作用
= 自我によって否定・過小評価・湾曲されている無意識の中での本心を、夢の中に見せることによって、あなたの本当の姿やその大切さを自我に伝えるため。
- 追体験
= 現実に起こった出来事の中で、自我が忘れていたり不充分に認識してしまっている大切な感情を、キチンと昇華させるため。
- 展望夢(実生活へのアドバイス)・予知夢
= 無意識が感じ取った"成功への方向性"を自我に知らせるため。シンクロニシティによって"実現する可能性が高い事柄"を自我に知らせるため。
また、夢の内容は、ほとんどの場合において個々の自我(=起きている時の意識)や実生活に大きく関係しています。
夢が持つキーワードやシンボルやメッセージを、単純に万国共通・誰でも同じ意味を持つなんて考えるのは大間違いです。当サイトでもそうですが、多くの夢診断関連のサイトにも掲載されている夢のシンボルやメッセージは、一つの夢に対するそれが単一ではありません。通常は、(統計的にはこれが妥当 )もしくは(こういった雰囲気で・例えばこんな感じで)のように夢のシンボルやメッセージの意味に幅を持たせたり、正反対の意味を提示したりしてます。
自分で夢診断を行なう時は、 自分の実生活における現状や自我(=起きている時の意識)をシッカリと把握した上で、提示されている言葉を単純に真に受けることなく、自分自身の独自の解釈を生み出すつもりで行なうことが大切です。
---夢診断を行なうにあたっての注意点(まとめ)---
- 願望充足・補償作用・追体験・実生活へのアドバイス・予知夢など、さまざまな夢の目的を間違えないように気をつける。
- 自分の実生活における現状や自我を把握した上で、自分自身の独自の解釈を生み出すつもりで行なうことが大切。
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紀汐 苓(キセキ・レイ)。1966年生まれの西洋占星術研究家であり、天文愛好家でもある。
高校生のころ西洋占星術に興味を持ちはじめ、以来、西洋占星術を中心に東洋占術をはじめ、ギリシャ神話やその他各地に伝わる神話・伝説の類から導かれる人間心理を紐解き、特定の流派に属さずに独自の立場で研究を行なう。
また、占術全般に深い興味を持ち、近年では夢占い(夢診断)やタロットカードなどにも専門分野を広げている。
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▼ 『夢草紀』 は 『西洋占星術の新解釈:ガリレオ占星術』 の中の1サイトです。
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