* 相反した意味が現われた場合は、そのどちらの傾向もあることを示します。要するに、気分や体調や状態にムラがあり、あなたの判断しだいでどちらにも転びかねないことを暗示しているのです。
---夢十夜〜第一夜(夏目漱石)---
自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。穴はしばらくして掘れた。女をその中に入れた。そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。
自分は苔の上に坐った。そのうちに、女の云った通り日が東から出た。大きな赤い日であった。それがまた女の云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。一つと自分は勘定した。
これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石を眺めていた。
自分はこう云う風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い日をいくつ見たか分らない。勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越して行った。それでも百年がまだ来ない。しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、自分は女にだまされたのではなかろうかと思い出した。
すると石の下から斜に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。と思うと、すらりと揺ぐ茎の頂に、心持首を傾けていた細長い一輪の蕾が、ふっくらと花弁を開いた。真白な百合が鼻の先で骨に堪えるえるほど匂った。自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花弁に接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬いていた。
「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。
女が死んだ墓の前で佇んでいる(WHERE)夢なので、まだまだ邪魔なモノを捨て切れていません。庭(WHAT@)は今までの人生で成功し築き上げてきたモノを暗示しています。自分の中にある過去の栄光・功績の中にある、今となっては邪魔だと思っているモノを捨て切れずにいることを暗示しています。また、苔〔=野生の植物〕(WHAT@)はあなたのバイタリティを表わしています。あなたが捨て切れずにいる邪魔だと思っている過去の栄光・功績は、あなた自身の過去のバイタリティのことなのかもしれません。
太陽(WHATB)が昇り、沈んでいくのを見ている夢なので、あなた自身のエネルギーの浮き沈みを実感していることを表わしています。
また、時(WHEN)として「百年間ずっと」ということなので、あなたのエネルギー状態の変遷を暗示しています。
だまされたと思い失望してしまう(HOW)ところから、あなたの中に理想を追い求める気持ちが高すぎることを暗示しています。どこかで妥協しなければなりません。
青い〔=緑色〕(OTHERS)茎(WHAT@)は希望・生命力に影響を与えるバイタリティを暗示しています。胸のところ(WHAT@)まで伸びてきているところから、あなた自身が弱気になっていて、誰かに甘えたい気持ちになっていることを暗示しています。また、真白な(OTHERS)百合の花は、純粋さ・素直さ・可能性・行動力のシンボルです。
それが堪えるほど匂った(OTHERS)ということは、(恐らく)良い香りが強すぎて(恐らく)悪臭となっているのでしょう。運気の上昇と下降の変遷を暗示しています。
暁(WHEN)の星(WHATB)がたった一つ瞬いていたところから、あなたの中で理想や目標が明確に定まっていて、これから生まれようとしている新鮮なエネルギーに満ち溢れていることを暗示しています。
主役が自分(WHO)であり、ほとんど情景を傍観している夢であることから一種の展望夢である可能性が高いでしょう。展望夢は予知夢とは異なり、夢が暗示しているものを実現するも回避するも、あなたの努力しだいです。ただ、そうなる可能性が高いことを、あなたの無意識が察知していることだけは確かです。